スマートフォンで写真も動画も手軽に残せる今、デジタルカメラが再び注目されています。
若い世代や旅行需要、SNS投稿の広がりから、その魅力を改めて考えます。
(※2026年5月6日の朝日新聞の記事を参考にしています)
■一度落ち込んだ市場に見える回復の兆し
デジタルカメラの国内出荷台数は、2008年に1111万台を記録しました。
しかし、スマートフォンの普及によって販売は大きく落ち込み、2023年には91万台まで減少しました。
カシオ計算機やオリンパスなどが関連事業から撤退したことを考えると、市場の変化はかなり大きかったのだと感じます。
一方で、2024年は101万台と7年ぶりに前年を上回り、2025年も99万台と回復基調を保っています。
完全な復活とまでは言えないかもしれませんが、下げ止まりではなく、再び選ばれ始めている印象があります。
■若い世代がカメラを選ぶ理由
復調を支えているのは、若い世代だとされています。
カメラ映像機器工業会によると、2024年の年代別購入者では39歳以下が全体の46%を占めました。
スマホで十分と思っていた世代が、あえてデジカメを手に取っている点は興味深いです。
私自身も、普段の記録はスマホで十分だと思う一方、旅行や子どもの行事などでは「もう少しきれいに残したい」と感じることがあります。
SNSで写真や動画を投稿する機会が増えたことで、画質や表現にこだわりたい人が増えているのは自然な流れだと思います。
■各社が打ち出す個性的なカメラ
キヤノンでは、2016年発売のコンパクトデジカメ「IXY 650」への引き合いが強まり、一時は生産が追いつかない状況になりました。
昨秋には新機種「IXY 650 m」も発売されています。
富士フイルムの高級コンデジ「X100VI」は、発売から2年たっても世界的に品薄が続くほど人気です。
ニコンの「COOLPIX P1100」は光学125倍ズームを備え、3000ミリ相当の超望遠で月のクレーターの質感まで捉えられるとされています。
スマホでは難しい写真が撮れると聞くと、少し試してみたい気持ちになります。
単なる記録ではなく、撮ること自体を楽しむ道具としての魅力が戻ってきているのではないでしょうか。
■動画需要と訪日客が支える市場
動画撮影の需要も、デジカメ市場を押し上げています。
ソニーは、自撮りしやすい液晶モニターや素早くピントを移動できる機能などを備えた動画特化型の機種を展開しています。
SNSや動画共有サイトを意識した製品づくりは、今の時代に合っていると感じます。
また、コロナ禍後の外出や旅行需要の回復、円安による訪日外国人の購買も市場を支えています。
ビックカメラの2025年9月~2026年2月期の免税売上高では、カメラが12.8%を占め、理容・美容家電に次ぐ比率でした。
海外市場では出荷台数の大幅な回復は見込みにくいものの、各社はミラーレスを中心とした高級機へ軸足を移しています。
需要が本当にどこまで強いのかは、供給が追いついた時によりはっきり見えてくるのだと思います。